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 韓国ドラマ中心のブログです。ネタバレ内容を含むコメントはあらすじの「きりころじっく3」の方にお願いします。


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ユン・ジェムン主演「世界の終わり」見終りました


世界の終わり/果て(세계의 끝)  ☆☆☆
ユン・ジェムン主演「世界の終わり」見終りました_d0060962_924687.jpg


JTBCの週末(9話からは日のみ)、全12話
JTBC公式HP
演出 アン・パンソク
脚本 パク·ヘリョン
原作 ペ・ヨンイクの小説「伝染病」
出演者
ユン・ジェムン(カン・ジュホン)、チャン・ギョンア(イ・ナヒョン役)、チャン・ヒョンソン(ユン・ギュジン役)、キム・チャンワン(チェ・スチョル)、キム・ヨンミン(オ・ギヨン)

韓国で同時期に放送された「ザ・ウィルス」と同じく、突然発生した未知の伝染病を扱ったドラマなのですが、こちらはそれを取り巻く個々人の心理を中心に描かれます。
演出は「白い巨塔」「妻の資格」のアン・バンソク。
抒情的な映像で淡々と進むストーリーを追いながら、ざわざわと心を揺さぶられるドラマでした。



「ザ・ウィルス」と同じく、突然発生した伝染病を撲滅しようと努力する人たちの戦いが描かれるのですが、こちらのドラマの登場人物には明確な悪も明確な善もありません。
悪者の側のなす悪は、組織の人間としての行動であったり、誰もが心に抱えうる闇の部分であり、善の側に立つ人間も、状況によって自分の信念さえ捨てることがあります。
その上、最初は身体的症状だけを引き起こしていたウィルスが変性し、脳の働きにまで影響することになります。
その為、悪意に満ちた行動ですら、それを個人の問題に帰することがますます困難となります。
そもそも、悪意とはどこから生まれるものか、という問いも含んでいるように思えます。



そんな中、不必要な感情の盛り上がりを排除し、ウィルス撲滅のため対策を講じる人々の行動、また感染者たちの行動が淡々と語られて行きます。
そういうドラマですから、悪に立ち向かうヒーロー、といった構図は成り立たず、結局、最後にはハッピーエンドを迎えるのですが、爽快感はなく、重苦しいラストでした。
でも、それが悪い、ということではないんですよ。
病気が収束したところで、その間に起こったことは取り返しがつかないわけで、失ったものもあり、人間と言うものの存在の根本をもまた、揺るがす内容に、深く考えさせられる内容でした。

しかも、淡々と語られる出来事がとても美しい映像で表現されているんですね。
その美しさがまた、心に沁み込んでくる、不思議な味わいのドラマでした。

また、演じる俳優陣も、何人かは見知った顔ですが、大多数が初めて見る方々。
その多くは演劇の舞台をホームグラウンドとする演技派俳優だそうで、知名度がなく地味なのですが、演技力は確かなんですね。
彼らがまた、ドラマの質を高めていた、と思います。

ただ、当初20話の予定が、こういう地味なドラマの為か、視聴率不振のため、8話ぐらいの時点で12話で打ち切りと決定されたんですね。
そのため、全体的なバランスを欠いていしまったことが何とも惜しまれる結果となりました。
特に、ラスト近く、主人公が自分の内に生まれる悪と戦う部分があるのですが、これが簡単に描かれるために、とってつけたようなエピソードになってしまったことが、何とも悔やまれます。

これが予定通りの話数で仕上がっていたら、ととても残念なドラマでした。
by kirikoro | 2013-05-10 09:06 | 視聴済韓国ドラマ | Comments(0)