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 韓国ドラマ中心のブログです。ネタバレ内容を含むコメントはあらすじの「きりころじっく3」の方にお願いします。


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チ・ヒョヌ、アン・ネサン主演「錐-明日への光-」感想


錐-明日への光-(송곳)  ☆☆☆☆
チ・ヒョヌ、アン・ネサン主演「錐-明日への光-」感想_d0060962_17511190.jpg
2015年JTBCの週末ドラマ、全12話
演出 キム・ソクユン(「今週妻が浮気します」映画「朝鮮名探偵:トリカブトの秘密」)
脚本 イ・ナムギュ、キム・スジン
原作はチェ・ギュソクの同名ウェブトゥーン
出演者
チ・ヒョヌ(イ・スイン役)、アン・ネサン(ク・ゴシン役)、ヒョヌ(チュ・カンミン役)、キム・ガウン(ムン・ソジン役)、
最高視聴率は2.3%(TNMSによる)

大型スーパーで行われた非正規職解雇事件が発端となり、労働組合に加入して会社と戦う社員たちの話。
実際にあった事件を題材にした人気のウェブトゥーンが原作で、韓国社会の不条理を鋭くえぐり話題となった社会派ドラマです。

*このドラマのアンケートを作りました。
ご覧になった方々に参加していただけると嬉しいです。


会社と戦う話を扱ったドラマはいろいろあったのですが、このドラマは労働組合の活動を通しての挑戦を描いていて、とても新鮮でした。
労働組合なんて、私にとっては全く未知の世界で、彼らの活動や参加する人たちの心の状態など、具体的な組織の内部を知る、という点でも興味深いドラマでした。
しかも、今まで見たドラマの中での労働組合の活動といったら、暴力対暴力の乱闘シーンって感じだったのですが、このドラマの主人公は組合員が傷つかないことをまず第一に考えるのね。
暴力団風の男たちの乱入というシーンもありましたが、ほとんどが静かな戦い。でも、活動をするに従い、どんどん出口が見えなくなっていくような苦しい戦いです。
登場人物の一人一人の事情が描かれ、どの人物にも同情してしまって、ますます苦しくなる感じなんですね。
巨悪に挑む話はみんな、苦しい部分はあるものなのですが、このドラマは他のどのドラマとも苦しさの質が違う感じがしました。
しかも、爽快感なんて、ちっともないんですよ~
それに、視聴率も最近のケーブルドラマの水準が上がっているので、ちょっと不本意な数字かもしれませんが、とても面白かったです。




フランスに本社のある大型スーパー、フルミのイルサン店の課長、イ・スインは四角四面の原則主義者で元軍人。
軍隊でも、規則通りに物事が進んでいるうちはうまくやっていけたのですが、上司から不正を見逃すようにといわれるようになり、自分のは向いてない場所だと悟って軍を離れた人です。
スーパーでも、規則に外れる行為にはめっぽう厳しく、しかも愛想もないため、販売員たちには煙たがられている存在。
そんな彼、上からの命令で、手段や方法を選ばないで販売員を解雇するよう指示を受けます。
でも、それは不当な解雇を意味し、従えないスインは拒否します。
しかし、彼一人が拒否したところで、他の管理職は販売員たちに嫌がらせを始め、苦しい立場に立たされる販売員たち。
しかも、販売員たちをかばおうとするスインの行動はことごとく裏目に出、店長から、スインがいる限り、販売員たちはひどい目に遭うんだ、と販売員たちの前で言い出す始末です。
悩んだスインは偶然手にした名刺を手に、労働相談所所長のク・ゴシンを訪ね、労働組合に入りたい、と申し出ます。
管理職なのに組合に入りたがるスインに事情を聞き、彼は、君が守ろうとしているのは善良な弱者ではなく、つまらない弱者なんだ、と英雄気取りではできない活動であることを教えるゴシン。
一瞬ためらうものの、決意は固く、イルサン店としては初めて組合に入るスインでしたが、人望のないスイン、なかなか仲間を集められません。
ゴシンのアドバイスに従い、人望のあるカンミンを攻略、説得に成功するスインでしたが…

こんな感じで始まるお話なんですが、ともかく、名台詞の宝庫!
含蓄のある言葉が次々に登場します。
主に名せりふを吐くのはゴシンなんですが、彼はスインが表の主役の位置にいるのに対し、裏の主役とでもいうべき立ち位置です。
スインとゴシンが影響しあって、社会に立ち向かう運動の中心的となっているんですね。
ゴシンは学生運動で心身ともに深い傷を負った人で、彼の苦悩が物語を奥深くしていると思います。
演じているのはアン・ネサンで、とぼけた味と苦悩を同時に表現する彼の演技はさすがでした。

そのゴシンに対し、運動に初めて触れるスインは物語の進行とともに傷を負っていく人、と描かれています。
移ろいやすい人々の心に一喜一憂する彼の姿は物語を見る人にとって共感できる視点で、活動の内部に視聴者が踏み込めるように配置されている人物。
じつは私、演じているチ・ヒョヌはどちらかといえば苦手な俳優さんなんですよ。
恋愛ドラマなんかで彼が「素敵~!」なんて言われているのを見ると、ちょっと引いてしまうのですが、このドラマではスーツをピシッと決めている彼を従業員のおばさん視点で見ていたのか、何故だか納得してしまいました。
彼のほとんど笑わない役がよかったです。

笑わないスインに対し、笑顔いっぱいのキャラはカンミン。
人望の厚い人なんですが、彼とスインとの対比もまた、ドラマの中で光っていました。
演じているのはヒョヌで、いつも笑顔って感じがとても自然な人で、彼もまた、ピッタリの配役だったと思います。

その他の登場人物も、とても丁寧に描かれていてストーリーをリアルな感じにしていました。
知らない俳優さんたちも多かったのですが、どの役者さんも皆、よかったです。

と、大筋は大満足だったんですが、サブストーリーが中途半端なのが、ちょっと残念でした。
12話はサブストーリーをしっかり入れるには短く、省いてしまうには長すぎる分量だったんですかね~
ゴシンと、昔彼を拷問した人物とのエピも少し踏み込み足りない感じがしたのですが、それ以上にビックリだったのは、終盤になって、突然登場したスインの妻子(汗)
こんな中途半端に入れるんだったら、完全無視でよかったんじゃないの?と思ってしまいました。

と、多少の不満はあるものの、とても興味深い素材を扱ったドラマで、お勧めの作品でした。



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Commented by e-tele. at 2017-01-08 15:08 x
アン・ネサンさんて、【華政】では大きな役で出演されていたような気がしますが。
Commented by kirikoro at 2017-01-11 08:21
e-tele. さん、こんにちは

アン・ネサンさん、「華政」ではホ・ギュン役で出演されていましたね。
ホ・ギュンは彼が主人公のドラマもある(私は未見ですけれど)ようですし、何より、「ホンギルドン」の作者なんですよね♪
by kirikoro | 2017-01-07 18:06 | 視聴済韓国ドラマ | Comments(2)