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 韓国ドラマ中心のブログです。ネタバレ内容を含むコメントはあらすじの「きりころじっく3」の方にお願いします。


by kirikoro
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短編ドラマ「ベビーシッター」



ベビーシッター(베이비시터)  ☆☆☆☆
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2016年KBSの月火ドラマ、全4話
演出 キム・ヨンス
脚本チェ・ヒョビ(2014年KBSミニシリーズ公募優秀当選作)
出演者
チョ・ヨジョン(チョン・ウンジュ役)、キム・ミンジュン(ユ・サンウォン役)、シン・ユンジュ(チャン・ソクリュ役)、イ・スンジュン(ピョ・ヨンギュン役)、キム・サンホ(チョ・サンウォン役)
最高視聴率は3.8%(TNmSによる)

じつはこのドラマ、この前に放送されていたドラマが早期打ち切りになったため、急遽編成されたドラマだったんですね。
私はてっきり、埋め草的な作品だろう、と無視していたのですが、たまたまCSで放送されるのを見つけて視聴しました。

まず、映像がスタイリッシュで美しい!
と思ったら、キム・ヨンスの演出だったんですね。
一段と冴えた映像でした。
音楽もクラッシックを主に、場面を盛り上げる使われ方をしていたと思います。

ストーリーはベビーシッターがやって来てから夫婦間に亀裂が入り…と不倫物の要素もあるのですが、サスペンス心理劇って感じかな?
チソンとファン・ジョンウムの「秘密」に似た雰囲気がありました。
古典文学などの引用を多用する点でもテイストが似ていたように思います。
緊張感の持続するドラマであり、最後には意外な結末が…。

(ストーリー)




物語の冒頭、ヒロインは3人を殺した容疑者として警察に追われている状況。
殺したのは夫とその不倫相手、そしてその女の夫です。
自首する前に話を聞いてほしい、と記者のサンウォンに殺人に至った話を始めます。

物語はヒロインウンジュがソクリュをベビーシッターとして雇うところから始まります。
学歴もあり、語学にも堪能なソクリュに、ちょっと、劣等感のようなものを感じているようなウンジュ…。
ウンジュの夫のサンウォンの方はソクリュに関心を持ちはじめ、やがて不倫関係に。
しかもソクリュ、サンウォンの親友のヨンギュンの関心も引いています。
ウンジュはどうやら、最初から計画的にウンジュの家へと入り込んだようですね。
夫には何も言えなかったウンジュですが、自分の聖域である温室がサンウォンとソクリュの密会に使われたと知り、激怒。
ソクリュを解雇します。
ソクリュは間もなくヨンギュンと結婚します。
結婚までは態度では積極的には誘惑していなかったのに、それを境に積極的に誘惑をするソクリュ。
サンウォンは深みにはまるようにソクリュに夢中になってしまいます。
やがてサンウォンはウンジュとの離婚を考え、弁護士にも相談している状況。
そんな中、ウンジュはとうとう爆発してしまい、パーティーでサンウォンとソクリュの関係を暴露、傷害事件まで起こし、精神病院へと送られます。
でも、精神病院に入ることはウンジュの計画でもあったのね…。

3話までのストーリーはこんな感じなんですが、このドラマの主題はあらすじにしてしまうとすっぽり抜け落ちるような気がします。
たとえば、ウンジュとサンウォンの出会いのころの話は何度も何度も繰り返されます。
ウンジュにとっては拠り所のような思い出なのですが、夫にとってはそうではありません。
鼻血を出した時にそれを止めてくれた彼のハンカチを大事に仕舞っていたウンジュなのですが、それが何であるのかわからないサンウォン。
サンウォンにとっては、ウンジュとの記憶はすでに失われてしまった記憶のような気がします。
記憶、という点では、ソクリュがウンジュを不幸にしようと思ったきっかけについても当事者間に大きな違いがあります。
自分の父親のウンジュへの愛が彼女の家族を壊した、と思っているウンジュに対し、一方的に思われていただけでソクリュ父のことは全く覚えていなかったウンジュ。
しかも、ウンジュがサンウォンに語っている内容自体が4話で大きく揺らぎます。
それぞれの人物の持つ記憶の齟齬に加え、真実と虚偽、現実と幻想の間の境界線があいまいになっていく展開はフランス映画の「去年マリエンバートで」を思い出したりもしました。
このドラマの方は、映画に比べるとかなり分かりやすいものの、ドラマとしては難解な部分もある作品だと思います。
(非常に解りにくかった、といわれるラストについては私なりの読み解きをしてみたのですが、ネタバレになってしまいますので、別ブログに書きますね。  →「ラストについて」

こんな感じで、ストーリーと演出に関しては文句なし、だったんですが、急遽編成されたということのマイナス点はキャスティングに出ていたかなあ…。
私は俳優さんたちに、少し不満がありました。

このドラマでソクリュを演じたシン・ユンジュはの演技はかなり叩かれ、大根といわれていたようなのですが、私は彼女の演技力のなさは案外役のキャラでカバーできていたのではないか、と思います。
ソクリュっていわゆるファム・ファタールだと思うんですね。
男を破滅するまで夢中にさせる存在。
彼女をきれいな人や、うまい女優さんが演じたらそのブラックホールのような感じが出なかったと思追うんですよ。
美人でもなく、誘惑の技術も持ち合わせていないと思われる人にただ、誘蛾灯に誘い込まれる虫のように飛び込んでしまう男たち。
そういう存在としての彼女ですから、演技力などなくてもそれでよかったのでは、と思ったんです。
それに対し、キム・ミンジュンはこういうタイプの男ははまり役だと思います。
イ・スンジュンはそんなにあっているとは思わなかったのですが、まあ、脇役ですからこれもまあ、そう不満はなかったです。
それに対し、このドラマで演技力を評価されていた感じのチョ・ヨジョンが私は不満だったんです。
彼女の内面を表す表情の演技がイマイチだと思いましたし、何より凶器が不足している、と…。

とはいえ、全般的にはとても満足したドラマで、お勧めのドラマでもあります。
機会があれば、ぜひご覧になっていただきたい作品でした。


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Commented by とっこさん at 2018-07-08 10:08 x
Commented by とっこさん at 2018-07-10 16:21 x
上に、コメントをさせていただいたのですが、それからも、
まだ続きを見たわけではないのに、すでに、いろいろと、解釈を
考え込ませるドラマです(週末だけの放送のようです)。

初回にて、ソクリュが「やっと、ここまで来た」というセリフについてですが、
このセリフがあるからといって、ソクリュが計画的に不倫を意図して
乗り込んできたとは限らないとも言えるのだと思いました。
ほかの意味だと、いくらでも、「言い訳」を登場人物にも、
ドラマにも可能にし、しかも、真実を曖昧にさせるということなんだろうと。
ですから、このセリフがあっても、なかったのと同じドラマを成立させることも
できるのだということです。

kirikoroさんが、アラン・ロブ=グリィエの『去年マリエンバートで』ー日本なら、
芥川の『藪の中』でしょうかーを引き合いに出されるような展開になるのなら、
いっそう、そのような効果があるのだろうと思えました。

ソクリュの演技はまだ、わかりませんが、女性から見れば、なぜ、この人がというような
女性が、往々にして、男性を虜にするということがよくあると、女性なら皆、知っている
のではないでしょうか。その意味で、なかなか「いい」女優さんをキャストに持ってきたな、
という感じですね。

Commented by kirikoro at 2018-07-13 08:12
とっこさんさん、こんにちは。

なかなか引き込まれるドラマでしょう?
BS11では10話で放送されるようですね。

伏線ですが、これからますますあっと驚くところに結びつくんですよ~
私は見終えてからすぐに、最初からまた見直したぐらいでした。

フランス語に関しては、まったく知らない私でも下手そうには思えたんですが、やっぱりひどいんですね~
英語は上手い俳優さんが増えましたが(10年前は英語も基本、ひどかった…)、その他の原語はかなりひどいことが多い気がします。

>それからも、まだ続きを見たわけではないのに、すでに、いろいろと、解釈を考え込ませるドラマです

こういうドラマって、私はほんとに大好きなんですよ~
金曜と日曜の週2回の放送、続きが待ち遠しいことだと思います。

ご指摘の「やっと、ここまで来た」も、謎がますます深まるようなセリフですよね。
いろいろな可能性が浮かんできて、考えているうちに迷路に迷い込むような感じがして、わくわくします。

ソクリュの女優さん、やはり同じような感想をお持ちですね~

どうぞ、最後までゆっくり楽しんできださい!

Commented by とっこさん at 2018-08-26 11:57 x
視聴完了して、もう、2週間くらいたちました。

kirikoroさんのお薦め度に違わぬ作品で、kirikoroさんが「スタイリッシュ」と言われた通りに、styleが、まさに、タイトルバックの映像から、ドラマ構成に至るまで、一貫していました。

kirikoroさんが「去年マリエンバーアトで」を想起させるとご指摘のように、原作のアラン・ロブ=グリエは、フランスの新しい小説、ヌヴォ・ロマンと称された新しい文学追求の旗手でしたが、作風を「現象学的」と評されていました。たとえば、ある小説など、定点観測のような話者の視線の先の光景の描写が、同じ枠組のなか、微妙に バリエーションをもって繰り返されていくというものです。

「ベビーシッター」でも、タイトルバックでは、車から降りてきて途方にくれているかのようなウンジュをモンドリアンの『コンポジション』を思わせる緑の勝った構図の中にとらえているし、なかでも、壁の仕切りを画面中央に配して、左右、それぞれに、ウンジュとサンウォンが、それぞれの思いで、こちらを眺めているというバリエーションなど、凝ってましたね。

心をえぐるような激しい感情のぶつかりという内容もさるこことながら、形式美が印象的でした。

ところで、『チュオクの剣』(?)を、画面切り替えで、一瞬見たとき、これ誰?って思う鋭い視線の俳優がいて、思わず、名前を確認したら、なんと、若き日のサンウォン!やせて細面でした。素敵でした。随分、いやらしい感じに変わりましたね(笑)。
Commented by kirikoro at 2018-08-29 07:50
アラン・ロブ=グリエ、学生時代に受けた講義で、絵画が古典的絵画では視点が固定されていたのが現代絵画になってキュービズムに変化したのに対し、小説では逆になっている、という話の中で彼の「消しゴム」が取り上げられていたのがとても印象に残っているのですが、実はわたし、アラン・ロブ=グリエの小説はあんまり面白味が分からなくて…
ヌーボーロマンではビュトールの「心変わり」が大好きでした。(少し前に読み直そうとしたら、いまではそんなにおもしろく思えなくて…涙)

>心をえぐるような激しい感情のぶつかりという内容もさるこことながら、形式美が印象的でした。

同感です!

「チュオクの剣」のキム・ミンジュンはあたり役でしたね。
私はその次の年の制作の「アイルランド」の彼が大好きだったんです。
こちらでの彼はダメダメ男で、印象は今の彼に近いところもありますが、よくよく思いだして見ると、今ほどいやらしい感じはなかったかも♪
by kirikoro | 2016-12-21 23:18 | 視聴済韓国ドラマ | Comments(5)