女を泣かせて(여자를울려) ☆☆☆
2015年MBCの週末ドラマ、全40話(日本編集版DVDは54話)
演出 キム・グンホン( 「善徳女王」「ホジュン~伝説の心医~」)、パク・サンフン
脚本 ハ・チョンオク(「金よ出てこい☆コンコン」
出演者
キム・ジョンウン(チョン・ドギン役)、ソン・チャンウィ(カン・ジヌ役)、イン・ギョジン(ファン・ギョンチョル役)、ハ・ヒラ(ナ・ウンス役)、 イ・テラン(チェ・ホンナン役)
最高視聴率は25.5%(AGBニールセンによる)
”愛”とは、”許し”とは何か・・・
それぞれの思いや欲望、そして傷を抱えた大人たちの物語
このドラマのポスターなどではキム・ジョンウンとソン・チャンウィのツーショットの者が使われていることが多く、恋愛メインのドラマ、と思われてしまうかもしれませんが、中心となるのは週末ドラマによくある、財閥家と貧しい家の二つの家族を巡る家族の物語です。
主人公のラブラインの方は途中でまったくと言っていいほど動かなくなってしまいますので、ラブラインを楽しみに見ていると失望してしまうかもしれません、
よくある、と書きましたが、大筋はそうであっても、このタイプのドラマのドラマの中では、オリジナリティーはけっこうある方だと思います。
普通、男女の主人公の家族が一方は財閥でもう一方は貧しいという設定なんですが、このドラマでは貧しい家族の方がヒロインの実の家族ではなく、夫の家族なんですね。
途中から、ヒロインの実母も登場してくるのですが、実母以上に絆の強い義理の家族で、ヒロインが不実な夫となかなか離婚に踏み出せないのも、この夫の家族を失いたくないためなんですよ。
そして、後半になると財閥家の後継者を巡ってのドロドロの争いが話の中心に。
でも、無茶なキャラ、無茶な話の中、この人は絶対に悪人化する!と思っていた人がずっといい人だったり、ひどいやつ、と思っていた人がけっこう可愛く見えたり、というところに、ほっとできることが魅力だったように思います。
*このドラマのアンケートを作りました。ご覧になった方々に参加していただけると嬉しいです♪
(story)
高校の正門前で食堂を営むドギンは元刑事。
2年前に交通事故で一人息子を亡くしてからは食堂にやって来る生徒たちの世話をしながら暮らす日々です。
彼女は孤児で早くに結婚、会計士の試験に挑戦中の夫ギョンチョルとその家族を支え続けてきました。
その甲斐あって会計士になった夫でしたが、息子を失った後別に部屋を借り、そちらで暮らし、彼の母と兄妹たちはもっぱらドギンが面倒を見ています。
そんなある日、学校の生徒で不良のリーダー格であるユンソが弱い者いじめを繰り返していることを知り、虐められている子たちを助け、ユンソを叱りつけるドギン、
そんなドギンを頼もしく思い、信頼するようになるのが教師のジヌです。
次第にひかれていくジヌですが、実は彼はユンソの父親。でもそのことを言い出せないでいます。
一方、ドギンの夫はマンションで金持ちの家の娘と同棲しているのですが、なかなか離婚しようとしないドギン夫にしびれを切らし、自分の実家に連れて行き、結婚すると宣言したり、ドギンの店に現れ、ドギンに離婚を迫ったり…
浮気を知ったドギンに詫びることもなく、逆に、ひどい言葉を浴びせる夫に傷つくドギンです。
この、ドギン夫の不倫相手は実はジヌの妹。ジヌは家業にはかかわらず、高校で教えていますが、実は財閥家の息子です。
そのことが明らかになり、ますますこじれるドギンとジヌ、ドギン夫と不倫相手です。
また、財閥家では現会長の長男は亡くなっており、次男が仕事面で会長の右腕をこなしているのですが、彼のあとの後継者を巡って女たちが争っています。
長男の死後妊娠が発覚し出産、財閥家に嫁の扱いで入っているウンスと、二男の妻ホンナンがそれぞれの息子を後継者にしようとしています。
長男の息子は健康面での不安があり、次男の息子はゴルフの方では力を発揮しているものの、頭脳の面でちょっと劣っている感じです。
しかも、次男は兄の結婚前にウンスのことが好きだったようですし、何かと次男を頼るウンス。
その上次男は、会社は長男の息子が継ぐべきだ、とまで言い出し、ホンナンはウンスと夫の間を疑い、嫉妬するのですが、あながちホンナンの妄想とは言い切れない感じが…
こんな感じで、ドギンとモラハラ夫とやりたい放題の夫の不倫相手の3人のドロドロで始まり、そんなドギンに同情したジヌがかかわって来て、それを見たドギン夫が嫉妬して、という感じのドロドロが序盤。
その後、ドギンとジヌの間は深まるものの、ドギンとジヌ家族の間の悪縁がさらに明らかになります。
そして、後半はもっぱら財産家の跡取り問題が中心。
思いっきり悪事を巡らすウンスが話を引っ張ります。
この部分になると、それまでけっこうひどいやつと思っていた人たちが可愛く見えてくるのが不思議(汗)です。
(まあ、キャラ変しちゃっている人物も結構いるんですが)
こういうドラマですから、現実的ではない部分も多々あるんですよね。
会社の危機に、今まで会社とまったくかかわってこなかった人を中心に据える?とか
ユンソを海外に送り出すのに、会長にとっ要らない人間を一緒に行かせる、なんて言っていたかと思うと、結局ひとりで送り出すことになっちゃったり、と…
細かいところは突っ込みどころがいっぱいなんですが、まあ、」そういう突っ込みを入れるところもこういうドラマの楽しみの一つなのかも、と思って見たり…
真面目に怒ったりしていたら、けっこう疲れるかもしれませんね。
そして、ラストはみんないい人になっての大楕円・・・
有り得ない!とおもいつつも、嫌な気分で見終わりたくはないので、こんなもんかな、などと思いました。
ドロドロの割には息苦しい感じはあんまり受けず、また、よくありがちな、似たようなことの繰り返しってことも無くて、退屈することもなく、私にとってはわりと見やすい家族の愛憎劇でした。
ドロドロ物がお好きな人にはもしかして物足りないかもしれませんが、たまにはちょいドロテイストの家族ドラマも見たい、と思っている私のような人間にはピッタリって感じのドラマでした。
ぜひ見なきゃ、ってドラマではありませんが、期待していた程度の面白さはあり、見て損した感はないドラマでした。