悪の花(악의 꽃) ☆☆☆☆☆
2020年tvN の水木ドラマ、全16話
演出 キム・チョルギュ(「空港への道」「マザー」)
脚本 ユ・ジョンヒ(「裸の消防士」)
出演者
イ・ジュンギ(ペク・ヒソン役)、ムン・チェウォン(チャ・ジウォン役)、チャン・ヒジン(ト・ヘス役)、ソ・ヒョヌ(キム・ムジン役)
最高視聴率は5.715%
14年間愛してきた夫に、血も涙もない連鎖殺人魔の疑いが!
愛さえ演じる男ヒソンと、彼の実体を疑い始めた妻のジウォン。
見ないふりをしたい真実の前に向き合って立つ二人の高密度感性追跡劇が始まる。
コロナの影響か、息詰まる展開の捜査劇がずっと楽しめないでいたのですが、これは久しぶりに楽しめました♪
役者さん良し、ストーリー良し、映像良しのドラマでした。
*このドラマのアンケートを作りました。ご覧になった方々に参加していただけると嬉しいです♪
(story)
殺人課の刑事のチャ・ジウォンの夫ペク・ヒソンは金属工芸家。
自宅に併設された工房で働く彼は忙しいジウォンよりも家事育児に割く時間が長く、家庭的な夫であり、理想的な父親です。
出会って14年、結婚した時に妊娠中だった娘も6歳になりましたが、変わらず愛情深い夫のことを変わらず愛しているジウォン。
家族についての悩みといえば、自分との結婚で夫がその両親と不仲になったようで、いまだに義両親から娘ともども受け入れられないことぐらい…
ところが、ヒソンには大きな秘密、裏の顔があるようです。
ジウォンに父母と紹介している人たちはどうやら本当の親ではなく、何か共犯関係にある模様。
ヒソンの本名は、ト・ヒョンスといい、彼の本当の父親は逮捕前に自殺しているものの、18年前に起こったヨンジュ市連続殺人事件の犯人で、ヒソン自身にも住んでいた村の村長殺人の容疑がかかり、指名手配中。
そのうえ、村ではヒョンスが父親の連続殺人の共犯だった、とのうわさもあるようです。
そんなヒソンの工房にある日偶然、週刊誌記者のキム・ムジンが訪ねてきます。
ムジンははヒョンスと同じ村で育った同級生で、ヒソンを見るなり、彼がヒョンスだと気づきます。
彼に警察に通報されるのを恐れ、工房の地下室に監禁するヒソン!
一方、ヒソンのチームはヨンジュ連続殺人事件の模倣犯が起こしたと思われる事件を立て続けに2件担当することになります。
一件目はほどなく、ムジンが記事にした事件をもとに現場を偽装したもの、と分かり解決するのですが、2件目は警察しか知らない事実迄模倣されています。
そして、被害者は襲われるシーンを録音しており、加害者はヨンジュ殺人事件の犯人の息子ヒョンスだと言っている被害者。
そして、ヒョンスが反社会的人格障害らしいということも徐々に視聴者に明らかになっていきます。
2話の途中までの話を書きましたが、最初は主人公がサイコパスの殺人犯だとしか思えなません!
そして、ジウォンも少しずつ、ヒソンの行動に疑問を持ち始めます。
それと反比例するように、視聴者は主人公はそんなひどい奴じゃないのかもしれない、と思っていくのですが…
話を追っていくと、まずは、模倣犯の事件の真相が気になるのですが、他にも次々に疑問を持つことになります。
ヒョンスが父親の事件の共犯者だ、という話も出てきますが、それがほんとなのかどうか?
村長殺害の件も、ヒソンはムジンに自分がやった、と言うものの、仔細はまだ明かされておらず、これも謎です。
それに、ヒョンスがヒソンになった事情も謎です。
3話のラストでは隠し部屋のベッドに横たわる、意識不明の状態の本物のヒソンが登場しますし…
また、ヒソンがサイコパスなのかということも、そう思える描写もあれば、違うのではないかと思われる描写もあるんですね。
その後、ドラマですからもちろん事件の真相は明らかになっていくのですが、そこに至るまでに反転に反転を重ね、予想もつかない展開が続き、目が離せません!
また、サイコパスだとされているヒソン(ヒョンス)の心を追っていくうちにサイコパスって何だろう?なんてことを考えもするんですね。
最近の犯罪捜査物はサイコパスな悪人が出てきて、その異常さを競い合うようなところもあって、視聴者はいつの間にかサイコパス=冷酷な殺人者といった公式が頭にできているのではないかと思うのですが、それを逆手に取った物語のスタートだったように思います。
そして、ヒョンスは確かに他の人と比べると感情の表現がかなり違うところがあるのですが、果たしてそれをサイコパスと言っていいものか、という疑問がありますし、誤って診断を下され、自分に感情がないと思い込むようになったのではないか?という疑問もでてきます。
ヒョンスの心を追っていくと、人とは少し違う動き方をするけれど、厳格な意味でのサイコパスではないと思うんですよね~
サイコパスってほんとにイメージが独り歩きしているように思います。
ドラマ自体も最終的にサイコパスより恐ろしく残忍だったのは誰か、というところにたどり着きますし。
こんな感じで話はおもしろいし、考えさせられる部分もたっぷりあるのですが、役者さんたちもまた、いい演技をしていました。
まず、なんといっても凄かったのはイ・ジュンギ。
彼の無表情にはすごみがありますから、愛情たっぷりな笑顔とのギャップがすごいです。
彼の表情演技でますますヒョンスがサイコなのかそうでないのか分からなくなる部分が大きかったと思います。
彼の高校時代を演じた子役もよくこんな似た感じの子を見つけてきたな、といった感じで、ぴったりでした。
ムン・チェウォンは力の入った演技をするとき、なんか滑舌が悪いのか、空回りする感じがすることが時々あるのですが、今回もちょっと舌足らずな感じの発音ではあるものの、なぜだか空回りする感じは受けなくて、気持ちに入っていける演技だったと思います。
ソ・ヒョヌはムジンが結構情けない感じの役なんですが、なかなか味がありました。
チャン・ヒジンはいつもの悲し気な感じの役どころなんでいつも通りなんですが、わたしは彼女のこういう役、好きなんですよね~
他にも、普段のイメージとかなり違う役を演じる人が登場するんですが、ネタバレになっちゃう恐れがあるので、ここでは書きません。
どうぞ、実際に見て、楽しんでくださいね♪