ドラマステージ(드라마 스테이지) シーズン1
2017~18年tvNで放送された1話完結の短編ドラマ集、全10話
新人作家の新鮮な感受性とtvNが出会った!
コンクールで選抜された10人の新人作家が披露する、20017年、この時代を生きる私たちの姿─
これが第1シーズンで、以来毎年新しいシリーズが放送されているようです。(2021年現在)
全体としての印象はKBSの「ドラマスペシャル」シリーズに似た感じ。
コンクールで選ばれた作品だけあって、見ごたえのある作品が並んでいました。
☆の数は3つのものと4つのものがありますが、私の好みによるところが大きく、どれもみな良い作品だと思います。
各話の情報と感想は簡単にですが、個別に書いておきますね。
「パク代理の秘密の私生活(박대리의 은밀한 사생활)」 ☆☆☆
演出:ユン・ソンホ 脚本:チェ・ジフン 出演者:イ・ジュスン(パク代理役)、キム・イェウォン(チェ・ボミン役)、チャ・スヒョン(ユリン役)、チャン・ドンユン(友情出演)
昼は冴えない会社員、夜は恋愛小説家として日々を送るパク代理のアイロニカルな二重生活!パク・ジョンヒョク代理は平凡な会社員。
昼は目立たず冴えない会社員の彼ですが、夜になるとミリネという有名な恋愛小説家として暮らしています。
世間では美人だともうわさされている彼の実態を知っているのは小説を本として出版している会社の関係者ぐらいです。
ミリネ作家の担当、チェ・ボミンは次回作も自社から出版してもらおうと交渉しているのですが、副業が会社にバレたらまずいパク代理は絶筆しようとしています。
ところが、彼が恋している会社の同僚ユリンがミリネ作家のファンだと知ったボミン、契約する代わりに、今まで女性と付き合ったことのないパク代理とユリンの仲を取りもつ事を提案。
ユリン一人だけのためのミリネ作家のサイン会を開くことにします。
ところが、直前になって出版社社長が勝手にサイン会の情報をファンクラブに流し、ファンたちが集まる事態に!
その上、ユリンは現れず、あろうことかパク代理の会社の上司までもが姪の付き添いでやって来て…
コミカルでほんわかあったかいお話。
イ・ジュスンの持ち味が生きていたと思いました。
「B主任とラブレター(B주임과 러브레터)」 ☆☆☆
演出:ユン・ヒョンギ 脚本:シン・スリム
出演:ソン・ジヒョ、チョ・ウジン、イ・ジュニョク(特別出演)
生まれてから一度も男性と付き合ったことのない主人公のもとに一通の匿名のラブレターが届き…。ロマンスを夢みる独身女子の奮闘記!
34年間、一度も恋をしたことのないガヨン。
ある日そんなガヨンの元に"S”という人物からラブレターが届きます。
Sが誰なのか知りたいガヨンは、まず職場の後輩じゃないかと思い込みます。
けれども、すぐにジェヒョンに彼女ができたことを知ることに…
次は課長のシム・ビョンソンなんじゃないかと思うガヨン。
こんな人に好かれても…と、あまり好印象を持っていなかったガヨンでしたが、好かれていると思えば見方も変わり、少しずつビョンソンの良いところが目につき始めます。
そして、二人で飲みに行こうと誘われたガヨンはいよいよ告白される!?と思うのですが…
コミカルな話だと思うんですが、勘違いしちゃっている主人公が痛々しくて、ちょっと私は苦手でした。
それにしても、韓国ではこういうの(ネタバレになるので秘密)があるんですね!
「直立歩行の歴史(직립 보행의 역사)」 ☆☆☆☆
演出:チャン・ジョンド 脚本:チェ・ソンウク
出演:gugudanのミナ(ミナ役)、ビョン・ウソク
(ジョンミン役)、ヤン・ヘジ(ジャヨン役)
いつも一緒と思っていた私の男友達にガールフレンドができた⁉
初恋の人を取り戻すため、人生初めての全力疾走を始めた超能力少女の話。
ミナは1日に2回透明人間に変身できる能力を持っているほかはいたって普通の女子高生。
ある日、片思いをしている先輩ジョンミンから「話がある」と言われたミナ。
告白される!とワクワクするミナでしたが。ジョンミンが告白したのは同じクラスのジャヨン…
それが受け入れられないミナはなんとか二人を別れさせようと頑張りますが、全然うまくいきません。
そんな時、クラスメイトが階段から落下。それを見ていたその友人がジャヨンが突き落とした、と騒ぎ出します。
実は皆はその事件を目撃していたのですが…
透明人間設定は必要だったのかな?と思いました。
でも、ミナが生き生きしていて可愛くって、良かったです♪
「遠足に行く日 (소풍 가는 날)」 ☆☆☆☆
演出:ミョン・ヒョヌ 脚本:イ・ジョンミン 出演:キム・ドンワン(ジェホ役)、キム・ヘイン
自殺に失敗した男が皮肉にも遺品整理の会社で働くことになり、そこで遭遇する生と死の狭間に立つ人々の心温まる話
ジェホは孤独死した人の遺品を整理する仕事に就いている男。
かつて事業に失敗して自ら命を絶とうとした彼ですが、お隣さんに声をかけられ救われたことがあります。
けれども彼の方は、そのお隣さんが自殺した時には声をかけられず亡くなってしまったのね。
その時に来ていた遺品整理業の会社で働き始め、借金も少しずつ返し、なんとか日々生きている状況です。
そんなある日、会社に「遺品整理の予約をしたい」という申し込みが入ります。
ジェホの後輩が深く考えずに受けてしまうのですが、予約という事は自殺するつもりだという事で自殺ほう助に問われることもあり得る話です。
一旦は後輩に断るように指示したジェホですが、依頼者のことが気になり、自分が直接電話で話を聞くことにします。
依頼主はオ・ミンジュという女性の銀行職員なのですが…
このエピソードのほかに、2つのエピソードも同時に語られます。
短い中で、互いに補うようにしっかり描かれ、うまくまとめられた印象深い話でした。
「今日もタンバリンを叩きます(오늘도 탬버린을 모십니다)」 ☆☆☆
演出:チェ・ギュシク 脚本:キム・ドンギョン 出演:パク・ヒボン、イ・ミソ
職場で生き残るためタンバリン教室に通い始めた契約社員の話。
オ・ムンスクは銀行の契約社員2年目ですが、一向に正社員になれないでいます。
ついに正社員を募集するという話が持ち上がったのですが、今まで適当に働いていた同じ契約社員のヤン・ジエが突然アピールをはじめ、にリードされてばかり。
上司との飲み会でも要領よく立ち回れないムンスク、一念発起してタンバリンダンスを習うことを決意します。
努力の甲斐もあり、一気に飲み会の人気者となったムンスク。
上司に重宝されるようになり、接待の席にも連れていかれるようになったムンスクでしたが…。
「文集(문집)」 ☆☆☆
演出:イ・ユンジョン 脚本:シン・ハウン
出演:シン・ウンス、チョン・ジェウォン(ONE)
大人になってしまった少女が学生時代の文集を偶然手にして思い出す十七の記憶・初恋…
アメリカの大学を卒業したものの、塾講師としてぱっとしない生活をしているシン・ソイ。
ある日、彼女の元に叔母から高校時代の文集が送られてきます。
そこには短い間通った高校の時の思い出が…
ソイは17歳の時、母親の再婚をきっかけに祖母の家に預けられたのね。
新しい高校に通い始めたものの、母親がすぐに迎えに来ると言って馴染もうとしないソイ。
そんなソイを無理やり文集係を一緒にするように仕向けたのはジニョンという同級生です。
実はソイ、こっちにやって来てすぐの時に、彼が畑に火を放っているところを目撃しているのね。
いやいや文集係の仕事を始めたソイでしたが…
自分ではどうにもならない心の痛みを抱えた高校生をみずみずしくノスタルジックに描いた作品。
ソイは思い出が力となって、彼女の現在の状況も乗り切れるだろうな、と感じるのですが、ジニョンは今、どんなふうに暮らしているんでしょうね…
「時間切れ(낫 플레이드)」 ☆☆☆☆
演出:ユン・ジョンソン 脚本:カン・ミンス 出演:ウォン・ミギョン、イ・ヒジュン
育児と家事に人生を捧げてきた60代半ばの女性があるとき、ビリヤードに才能があることに気づいた!?
ナ・インスクは家事と育児に人生を捧げてきた平凡な60代の女性。
ひょんなことからビリヤード場の清掃バイトをすることになったインスク、退屈しのぎに見よう見まねでビリヤードをやってみて、その魅力にはまります。
そして、技を磨き、才能を開花させていきます。
そんなインスクの腕に目を付けたのが店長のソンウ。
インスクをより大きく育て、閑古鳥が鳴いている店を繁盛させようと奮闘します。
すっかりビリヤードに夢中になり店の人気者となったインスクでしたが、次第に家の中のことに気が回らなくなってしまい……。
とっても楽しく、元気の出る話なんですが、少し前の社会の価値観の中で生きてきた女性が出会うあれやこれやも描かれていてよかったです。
「我が家はおいしい、みそチゲはおいしい(우리 집은 맛나 된장 맛나)」 ☆☆☆☆
演出:キム・サンホ 脚本:ユンジョ 出演:ユ・ウンミ、イ・チョニ、ミョン・セビン
お母さんが好きな味噌チゲを学ぶために生活戦線に飛び込んだ子供が人々の傷を治癒していく物語
しっかり者の中学生ハン・アイは未婚で彼女を生んだ、絵本作家の母親と2人暮らし。
アイの目下の問題は食事です。
お祖母さんが亡くなってしまい、母親は全く料理は出来ず、お菓子ばかり食べている人です。
学校があれば休職があるのでまだいいのですが、学校も休みに入ってしまいました。
お母さんは料理を学ぼうと、家の目の前にある食堂で働こうとするのですが、サングラスは外せず、配達はイヤだと言って4時間ほどで辞めてしまいます。
そのうえ、栄養失調で倒れてしまう母親。
アイは自分でお母さんが好きなみそチゲを作って見るのですが、激マズ!
そんな時に、母親が働こいた店に母親が働いた分のお給料をもらおうと出かけるアイ。
お給料は損害賠償したいぐらいだ、と断られたのですが、店で出しているみそチゲを食べさせてもらい、この味!と休みの間働かしてくれ、と頼み込みます。
店長のキボクに断られたものの、勝手に自主的に働き始めるアイ。
ところが、彼女がキボクの娘だと誤解され、閑古鳥の鳴いていた店にどんどんお客がやって来るようになります。
そのうち、評判を聞いたテレビ局から出演依頼が舞い込みます。
けれども、アイには目立ってはいけない理由があるのね…
あったかくって、いい話。
終盤の反転もよかったです。
「ファイター チェ・ガンスン(파이터 최강순)」 ☆☆☆
演出:ソン・ヨンイル 脚本:ユ・ヨンジュ
出演:カン・イェウォン、イ・ジェギュン、チェウン
ある日、隠し撮りされた動画がインターネットで拡散⁉
火にひるむことなく立ち向かう女性の爽快で痛快な報復劇
会社員のチェ・ガンスンは女らしさには少し欠けるところがあるものの、正義感が強く、仕事も有能。
そんなある日の飲み会で、彼女に、北米プロジェクトを任せるという話が出ます。
けれども、女性に任せるなんて、と不満たらたらな男性社員たちを見て腹立たしく一人、他の店に寄るガンスン。
そこに、上司のユ・セジンが現れ、一緒にお酒を飲むことに。
先ほど男性社員たちが不満をぶちまけるところにもいたのですが、彼だけはガンスンの肩を持ってくれていたのね。
そのうえ、プロジェクトに推薦したのは自分だといい、デートに誘うセジン。
そのまま一線を越えてしまった二人でしたが、次の日の朝その動画がネットに流出し社内でも拡散してしまいます。
そのうえ、流出元がセジンであり、彼が違法なポルノサイトを運営していること、他にもたくさん被害者がいることを知ったガンスン、同僚のユン代理の助けを借りてセジンに復讐することに…
ちょっとうまくいきすぎなんじゃない?とは思うんですが、スカッとする話でした。
「最期の食事を作る女(마지막 식사를 만드는 여자)」 ☆☆☆☆
演出:ファン・ジュニョク 脚本:パク・チュヨン 出演:チョ・ヨジョン、ハジュン
死刑囚が最期に食べる食事を作る女性の話
刑務所で働くスアは、普段は囚人たちが食事を作るのを手伝い、死刑が執行されることになれば、死刑囚が最期に食べる食事を作る仕事をしています。
正式に公務員となるため、楽しいとは言えない職務をこなし、ルールを守ることに徹するスア。
そんなスアの前に、新入りの死刑囚ミンジュンが現れます。
今まで見てきた死刑囚とあまりに違う彼の姿に戸惑うスア。
彼は妄想性障害を患っているのね。
自分が死刑囚であることを分かっておらず、刑務所から出た後の未ことをいつも考えているミンジュンことが気になって仕方がないスアなのですが…
ぶっちゃけ、韓国で最後に執行された死刑に処された一人の死刑囚をめぐっての話です。
社会的な問題をめぐっての、人々のいろんな思いが交錯している中、温かい主人公の気持ちが伝わる感動的なドラマで、
私はこの短編集の中で一番好きな作品でした。
韓国では最後に死刑の執行がなされたのは1997年で、それ以降は執行停止されており、実質的には死刑廃止国とみなされているんですね。
ただ、ドラマの中で、死刑廃止国になるとのニュースが大々的に流れていましたが、これはほんとにあったことなんでしょうかね。
ネットで調べてみると、これはちょうど政権が死刑制度に反対の立場の政党に移ることが決まった後、その時の大統領がその前に駆け込みで多くの死刑を執行したという事のようですね。
その後2期、死刑反対の政権が続き10年執行が停止されることになったため、国際的には死刑廃止国とみなされるようになったという経緯があるようです。
けれども、死刑廃止だと決めた訳ではありませんから、裁判所ではその後も死刑が宣言され、新たな死刑囚も生まれている、というのが現状のようです。